利用者の状態に応じて、泊まりや訪問、通所サービスを提供することができるのが小規模多機能型居宅介護だ。通常、通所サービスと泊まりのショートステイは別々の施設を利用することが多い。しかし、施設の環境や職員が変わると、利用者は不安に駆られ、体調を崩したり普段と違う行動をとったりすることがある。その点、小規模多機能型居宅介護では、同一の施設で通所と泊まりができるので、利用者は慣れた環境でサービスを受けることができる。また、同じ施設の職員が対応することで、利用者の情報が共有しやすくなる。利用者の家族からしても、介護サービスの窓口が一本化されることにより、安心して施設に預けることができるのが特徴だ。
また、小規模多機能型居宅介護では、職員も訪問介護や通所サービス、ショートステイなどのサービスをトータル的に行うことで、その利用者の家庭環境や性格、趣味などを把握することができるというメリットがある。利用者について深く知ることは、利用者の潜在的なニーズに気づくことにつながる。そのため、一人一人に合った介護プログラムを組むことができるようになるので、より充実した介護サービスを展開できるのだ。
このような小規模多機能型居宅介護は、地域密着事業の1つで、高齢者が少しでも長く住み慣れた地域で生活していく上で重要な制度として浸透しつつある。高齢者の心身の状態は様々であり、小規模多機能型居宅介護を利用することにより、より手厚いサービスを提供できるようにすることは、高齢化が進む今後の日本においては大切なことなのかもしれない。